光のもとでⅠ
 マンションに移ってからというもの、徒歩で通うことが多くなっていた。
 けれども、今日は翠葉が久しぶりの登校ということもあり、一週間ぶりに車通学をした。
 藤宮の私道を使わせれもらえば十分くらいで着けるだろう。
 そんなことを考えながら教室を出た。

 車を運転している間中考えてはいたけれど、病院に誰がいるのかが全く検討がつかない。
 けれども、俺が知っている人間であり、尚且つ他言無用――。
 誰にも知られてはいけない人物なんて、藤宮のトップシークレットのような気がしてならない。
 なんだってそんなところに自分が呼ばれるのか……。
 思い当たるのは静さんくらいなものだけど、モデルの件があるとはいえ、静さんが倒れれば澤村さんが代行するだろうから直接自分への支障はきたさないはずだし、俺が呼び出されることもないだろう。
 車から出ると空は真っ青。
 梅雨にしては珍しいくらいの快晴。
 けれど、肌にまとわりつくそれは梅雨独特の湿気だった。
 そんな中、司はロビーで待ち合わせと言いつつ、涼しい顔で表玄関に立っていた。
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