光のもとでⅠ
「幸倉の家だと俺と栞さん、時々帰ってくる両親。きっとそのくらいの人としか会わなかったでしょう。でも、今は違う。あのマンションにいれば日替わりで違う人に会うことができる。司だったり湊さんだったり楓先輩に、海斗くん、クラスメイトの子たち。それらが翠葉の悩み事を緩和してくれてるんです。人と話すことで悩み事から注意を逸らせるっていうか……。だから助かっています」
「それは……?」
「確かに、擦過傷になるまでは秋斗先輩のことで頭がいっぱいだったと思います。でも、今はそこまでそのことで頭がいっぱいというわけではないんじゃないかと……。唯とも自然に、普通に話せるようになってきています。俺と唯を同等に、兄って呼ぶようになりました。相談ごともするようになりました。俺以外の人にも、悩みを相談できるようになってきているみたいです」
それだけでも大きな変化だった。
「そっか……。俺のこと、何か話してたかな」
気まずそうに、でも、聞かずにはいられない。そんな感じで、色男が情けない表情をして訊いてくる。
いつもなら胸を張っている人が背を丸くして、前ばかりを見ている人が手元に視線を落として――。
「それは……?」
「確かに、擦過傷になるまでは秋斗先輩のことで頭がいっぱいだったと思います。でも、今はそこまでそのことで頭がいっぱいというわけではないんじゃないかと……。唯とも自然に、普通に話せるようになってきています。俺と唯を同等に、兄って呼ぶようになりました。相談ごともするようになりました。俺以外の人にも、悩みを相談できるようになってきているみたいです」
それだけでも大きな変化だった。
「そっか……。俺のこと、何か話してたかな」
気まずそうに、でも、聞かずにはいられない。そんな感じで、色男が情けない表情をして訊いてくる。
いつもなら胸を張っている人が背を丸くして、前ばかりを見ている人が手元に視線を落として――。