光のもとでⅠ
 こんなの、俺の知ってる先輩じゃないんだけどな……。
「話してました。内容は教えません。でも、翠葉は翠葉で先輩のことをきちんと考えているし、すごく真剣に悩んでいます。悩みすぎるのはあいつの悪い癖で、それがストレスに直結しているのは翠葉の問題です。そこまで先輩が背負い込む必要はありません」
 先輩は絶句して俺の顔を見ていた。
「先輩、それは年の差じゃなくて、傲慢って言うんですよ」
 俺、結構ひどいことを口にしたかも。
 でも、そういうものだと思うんだ――。
 誰が何を背負うとかじゃない。
 そんな線引きはあってないようなものなんだ。
 じゃないと、翠葉はずっとあのままだ……。
「翠葉の身体のことを考えると、余計なストレスは与えてほしくはないです。それが本音といえば本音。でも、最近気づいちゃったんですよ……。それじゃ、翠葉の世界はいつまでたっても広がらないし、翠葉自身が成長できないって……。大切すぎて囲いすぎてここまで来ちゃいましたけど、それじゃ翠葉はずっと孤独なんだろうな、って――」
 先輩を見ると、大きく見開いた目と視線が合った。
< 1,244 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop