光のもとでⅠ
「聞きたいと思ったときに声が聞けるのは嬉しいものだな」
『なんですか、急に……。まさか翠葉に何かありましたかっ!?』
「いや、ちょっと違う……。色んなことが一気に露見して、俺がオーバーヒート起してるだけ」
 本当にそれだけだ……。
『蒼樹さんがオーバーヒート起すなんて、翠葉がらみしか考えられないんですけど……』
 まぁ、確かに……。
「でも、本当。今回はとくに翠葉の体調がどうこうっていうわけじゃないんだ。桃華は何してた?」
『自室にいけるお花の水切りを済ませたところです』
「そっか……。桃華はいつなら時間が取れる?」
 次の日曜日にはドレスが必要になるから、できるだけ早くにドレスを選んで安心させてあげたい。
『そんな、蒼樹さんに合わせますっ』
 携帯の向こうで、珍しく慌てている桃華がうかがえた。
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