光のもとでⅠ
 おまけに、この頭脳明晰な俺様をバカ呼ばわりした。
 しかし、その言い分が少しかわいくて、すごく愛おしくて、ものすごく妹だと思ってしまった。
 何よりも核心を突いていたと思う。
 一部ちょっと間抜けだったけど……。
「っ……唯兄のバカっ。ごっこ遊びでも、唯兄って呼ぶの勇気いったんだからっ。それに、今は本当に頼りにしているお兄ちゃんなんだからねっ!? それにそんなにバカバカ言わないでっ。私、これでも学年で三位なんだからっ」
 ここまで口にしておきながら、すごく自信なさげに言うんだ。
「……唯兄にとっては本当にただのごっこ遊びだったの?」
 って……。
 この一言でノックアウト。
 あんなの上目遣いで言われたらズキュンです。
 こんな妹がいたらかわいいなって思うような子に言われたらさ、自分の行いを改めるしかないじゃんか。
 一気に体中の力が抜けたよ。
 そのままズルズルとドアを背にしゃがみこんで答えた。
「……ごっこ遊びじゃなかったよ。ちゃんとリハビリになってた。……昔話ができるくらいには――」
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