光のもとでⅠ
 俺の中で、リィは最初から女って部類には分類されていないんだ。
 このマンションにパソコンの設定をしにきたときにはセリとかぶってしまった。
 けど、相手はセリと全然違う子で、ちゃんと違うということを認識できた。
 それに、妹としてこの子と接することができれば自分はもう大丈夫なんじゃないか、とすら思えたんだ。
 実際、オルゴールなんて代物が出てくると俺は自分を保つことすら難しくて、挙句リィを突き飛ばすようなことまでしたけれど……。
 それでも、大切な妹だなって思ったんだよね。
 自分的には結構意外な感情だった。
 俺、そんなに人と深く付き合うほうじゃないし、今だってホテルの一部の人間と秋斗さんと蔵元さんと関わるくらいだ。
 リィの強さはそれだけじゃなくて、さっき大声を出して突き飛ばした人間に「側に言ってもいい?」なんて訊けてしまうところ。
 たぶん、俺を兄として慕ってくれてるんだと思う。
 もしくは、心配してくれてるんだろうな……。
 でも、もしここにいるのが俺じゃなくて秋斗さんなら、って考えたら、リィが恐怖で震えあがる様が容易に想像できた。
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