光のもとでⅠ
 この着信音は秋斗さんかオーナー……。
「どっちだろう……」
 思いながら、表示される名前は見ずに通話に応じた。
『若槻、翠葉ちゃんはっ!?』
 通話相手は秋斗さん。
 だが、よく状況がわからない。
「リィなら登校したそうですが?」
『血圧はいつもとそんなに変わらないんだけど、さっきから心拍が微妙な動きしてて――』
 と、うろたえている状態がありありと伝わってくる。
 パソコンを立ち上げると、確かに秋斗さんが言うような状態にあった。
「でも、学校ってことはこの時間教室か湊さんとこでしょ?」
『あ、そうなの? なら心配いらないかな……』
「何かあれば帰ってくるだろうし、そしたら連絡入れますよ」
『助かる……』
「で、俺、なんだかとっても冷静なんですよねぇ……」
『あ? ……あぁ、そうだな?』
「ねぇ、リィのことに気取られて俺のこと忘れてたでしょ?」
『……少しだけね』
「はいはい、少しだけ、ね。ま、蔵元さんから連絡くらいは入ってたんでしょうけど……」
『ま、そんなとこ』
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