光のもとでⅠ
「簡単なブレックファーストです」
 と、蔵元さんが席を立ち、あらかじめキッチンに容易してあったらしいものを運んでくる。
 毎日食べていたので見ただけでもわかる。
「ホテルブレッドじゃないですか……。これ、オーナーが買ってきたんですか?」
 オーナーがホテルブレッドを持って帰ってくる様が全く思い浮かばない……。
「湊からの留守電に、ホテルブレッドを買ってこないと殺すと入っていたからな」
 オーナーにそんなことが言える人間そうそういねぇ……。
 やっぱ湊さんってツワモノだと思う。
 ほかにはサラダとスクランブルエッグとコーヒー。
 食べ始めようとしたそのとき、かわいい音色、鈴のような音がした。
 これが鳴るのは二度目。
 リィからの着信音だ。
 でも、鳴り始めてすぐに切れた。
「……ワン切り?」
 いやいやいや……。
 リィがそんなことをするわけがないだろう。
 不思議に思ってかけなおしてみた。
 三コール目で通話状態になったものの、通話状態になっただけ。
 一向にリィの声が聞こえてこない。
 そこで自分から声をかけてみることにした。
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