光のもとでⅠ
「リィ……? どうかした?」
 リィの声は数秒してから聞こえてきた。
『……唯兄、元気? ……唯兄、今、マンション?』
 とてもとても小さな声で尋ねられる。
 しかも、どうしたことか片言チック。
「マンションだよ。十階のオーナーの部屋で朝食食べてる。あんちゃんもいるけど代わる?」
『うん……』
 明らかに不安を抱えた声だった。
 こんなときは俺じゃなくてあんちゃんのほうが落ち着くだろう。
 そう思ってあんちゃんに携帯を渡した。
「翠葉? どうした?」
 テーブルのコーヒーカップを見ていた視線が俺に移る。
「……唯のことを気にしているのか?」
 俺のこと……?
「……そんなんじゃ授業受けても意味なさそうだな。湊さんに換わって?」
 リィは何を考えて俺に連絡をしてきたんだろう……。
「今日、翠葉を早退させようと思うんですけど」
 え? リィ、さっき登校したばかりでしょ?
 何? やっぱ具合悪いのっ!?
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