光のもとでⅠ
 俺、かなりサッパリしてるけど……。
 わけがわからないって俺の状況を察したらしく、あんちゃんが補足説明をしてくれた。
「たぶんね、翠葉は唯を失うかもしれないって、どこかで思ってるんだ。……失うっていうのはさ、いなくなっちゃうっていうことと、死んじゃうっていうことと両方」
 またなんで――あ、でもそうか……。
 オルゴールが見つかったらあとはどうでもいいって気持ちは確かにあった。
 それが原因で俺は何度となく自殺未遂を繰り返していた時期があるし、自殺願望はあったから。
 でも、そんなことはリィが知るわけなくて――。
「湊様でしょう。あの方なら当時の唯がどんな状況だったかはご存知ですし、何も知らせずお嬢様にオルゴールを唯に渡させるような真似はなさらないでしょうから」
 なるほどね……。
 しっかし、俺、申し訳ないほどに気持ち的には結構安定してるわけで……。
 なのに、あんなに不安そうな声で電話に出た。
「あんちゃん、俺、わからないんだよね。どうしてリィはそんなに俺のことを気にかけてくれるのかな」
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