光のもとでⅠ
「唯は翠葉がなんでバングルをしているのか聞いてる?」
「いや、理由までは知らないけど……」
「翠葉は人に迷惑をかけることを極端に恐れている。だから、親兄妹にも身体の不調をなかなか言わない。それで倒れて病院に運ばれた回数はもう数え切れない」
「なっ――だって、リィのは放っておいたら……」
「だから、そういうことなんだ。あれをつける以外の方法が今はない。でも、翠葉からしてみたら不調を口にしないことは意識してやっていることじゃないんだ」
「自殺願望じゃないってこと? でも、やってることはまるで――」
「周りにはそう見える。でも、翠葉自身にその意識はない。周りは何度となく翠葉を失いそうになる感覚を味わっているけど、翠葉自身がそういう経験をしたことはなくて、バングルをつけるとき、周りに与えている感情を知らされた。あいつ、よほど衝撃的だったんだろうな。……だから、バングルをつけることを了承した」
「そこまでは知らなかった……」
「今回のことで翠葉は逆の立場に立っているんだ。唯を失うかも知れないっていう局面にいる。それがただ姿を消すだけのものなのか、それとも死という別れなのか、わからなくて怖くて唯の側を離れているのが怖くてたまらないんだよ。酷な感情ではあるけれど、いい機会だと思う」
唖然とした。
俺はもしかしたらひどく酷なたとえ話をリィにしたんじゃないだろうか。
「いや、理由までは知らないけど……」
「翠葉は人に迷惑をかけることを極端に恐れている。だから、親兄妹にも身体の不調をなかなか言わない。それで倒れて病院に運ばれた回数はもう数え切れない」
「なっ――だって、リィのは放っておいたら……」
「だから、そういうことなんだ。あれをつける以外の方法が今はない。でも、翠葉からしてみたら不調を口にしないことは意識してやっていることじゃないんだ」
「自殺願望じゃないってこと? でも、やってることはまるで――」
「周りにはそう見える。でも、翠葉自身にその意識はない。周りは何度となく翠葉を失いそうになる感覚を味わっているけど、翠葉自身がそういう経験をしたことはなくて、バングルをつけるとき、周りに与えている感情を知らされた。あいつ、よほど衝撃的だったんだろうな。……だから、バングルをつけることを了承した」
「そこまでは知らなかった……」
「今回のことで翠葉は逆の立場に立っているんだ。唯を失うかも知れないっていう局面にいる。それがただ姿を消すだけのものなのか、それとも死という別れなのか、わからなくて怖くて唯の側を離れているのが怖くてたまらないんだよ。酷な感情ではあるけれど、いい機会だと思う」
唖然とした。
俺はもしかしたらひどく酷なたとえ話をリィにしたんじゃないだろうか。