光のもとでⅠ

04

 試験までの数日間で私の体調はかなり悪化した。
 本格的に痛みが出てきてしまったのだ。
 発作的に痛くなることもあれば、じわりじわりと煩わしく付きまとうような痛みのこともある。
 それでも、まだ飲み薬が効く範囲だった。
 テスト勉強中から感じていたことといえば、痛みの範囲が地味に広がり始めていること。
 最初は左側の胸と背中が痛かったはずなのに、ふとしたとき、手先にまで痛みが及ぶことがある。
 今ではその範囲が徐々に広がり始めている。
 背中や胸の右側が痛くなったり、鎖骨のあたりが痛くなったり、肩や腕、手首や指にまで痛みは及び始めていた。
 気づいたのはとても些細なことからだった。
 唯兄とキッチンに立っていたときのこと。
 菜ばしを落としたのだ。
 菜ばしが触れた場所が痛くて……。
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