光のもとでⅠ
 最初は何が起ったのかわからなかった。でも、シャーペンやお箸、細くて硬いものや、一点に圧力がかかるものを持つと痛みが走る。
 短期間に自分の症状が一気に変わり始めて動揺した。
 でも、怖くて誰にも言えなかった。
 自分の体に何が起きているのかが怖くて……。
 それに、期末考査の前でタイムアウトなんて嫌だったから。
 期末考査が終わったら幸倉に帰ろう。
 このマンションに来て、とても楽しかったし色んな経験ができたけど、きっと色々とありすぎたのだ。
 だから私は少し混乱をしていて、体も同じように動揺しているだけ……。
 きっと幸倉のおうちに帰ったら落ち着く。
 そんなことを部屋の片隅でハープを抱えて考えていた。
 すると部屋をノックする音が聞こえ、蒼兄が入ってきた。
「……明日からテストなのに、何やってるんだ?」
 首を傾げて訊かれる。
「少し、考えごと……」
 そう答えると、蒼兄は大きなため息をついて私の真横に座った。
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