光のもとでⅠ
 しまいには、「翠と海斗の頭を足して二で割れたらちょうどいいのにな」と言い出した。
「因みに、翠のテストの出来は?」
 鋭い目で訊かれ、
「訊かないでください……」
 と、思わず耳を塞いでしまう。
 気分的には日光の三猿状態だ。
 見ざる聞かざる言わざる……。
「二十位切ったら覚えてろよ?」
 なんて言葉は聞かなかったことにする。
 それから、爽やかで凍てつくような笑顔も見なかったことにしよう。
 もちろん、出来が悪かったなんて申しません……。

 薬を飲むと、やっぱりうとうとしてきた。
「寝てもかまわない」
 そうは言われても落ち着かない。
 腰のマッサージが終わり背中に移るとき――。
「先輩っっっ」
 痛い箇所を押されて息が止まるかと思った。
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