光のもとでⅠ
「あら、もう終わったの?」
湊先生に声をかけられて、「はい」と答える。
それを昨日と同じように茶封筒に入れ、デスクの引き出しにしまった。
私の携帯は先生のデスクの上。
先生はふと思いついたかのように時計に目をやり、
「あんた、テスト捨ててないわよね?」
真顔で訊かれたけれど、
「捨てるなら最初から来てません……体力温存」
「それもそうね……。じゃ、点滴するからベッドに行ってなさい」
と、奥のベッドへ移動し横になる。
今日も変わらず天井が白い。あ、誰かが椅子を引き摺った……。
そんなことくらいしか音から得られる情報はない。
白い天井も微妙に柄があるから病院の天井やマンションの天井、それから自宅の天井を見間違えることはない。
でも、ぼーっとしているときに見ると、保健室と病院の天井は見分けがつきづらくて少し困る。
視線を少しずらせば窓の外に紫陽花が見えた。
この時期になってぐんぐんと葉を茂らせた紫陽花は、蕾はあるものの、まだ何色になるのかはわからない。
蕾はほんのりと青味がかったアイボリー。
湊先生に声をかけられて、「はい」と答える。
それを昨日と同じように茶封筒に入れ、デスクの引き出しにしまった。
私の携帯は先生のデスクの上。
先生はふと思いついたかのように時計に目をやり、
「あんた、テスト捨ててないわよね?」
真顔で訊かれたけれど、
「捨てるなら最初から来てません……体力温存」
「それもそうね……。じゃ、点滴するからベッドに行ってなさい」
と、奥のベッドへ移動し横になる。
今日も変わらず天井が白い。あ、誰かが椅子を引き摺った……。
そんなことくらいしか音から得られる情報はない。
白い天井も微妙に柄があるから病院の天井やマンションの天井、それから自宅の天井を見間違えることはない。
でも、ぼーっとしているときに見ると、保健室と病院の天井は見分けがつきづらくて少し困る。
視線を少しずらせば窓の外に紫陽花が見えた。
この時期になってぐんぐんと葉を茂らせた紫陽花は、蕾はあるものの、まだ何色になるのかはわからない。
蕾はほんのりと青味がかったアイボリー。