光のもとでⅠ
10
この日の食事会は楓先生がいなくて、静さんは終わる間際に顔を出した。
自分が慣れている人たちばかりなのに、どうしてかその空気に馴染みきれない私は、カウンターの中で須藤さんと唯兄とお料理の話をすることで気を紛らわせていた。
須藤さんの白いコックコートはお医者様の白衣に通ずるものがあって、無条件に安心してしまう。
そんな私はたぶん結構単純なのだと思う。
時折、司先輩からの視線を感じ、先輩もお料理の話に混ざりたいのかな、と思ったけれど、視線が合えばすぐ手元の本に目を落とすのだから、やっぱり体調を気遣われいてるだけだったのかもしれない。
「翠葉お嬢様は本当にパンがお好きなんですね」
「……え?」
「そうだね、ここ最近パンしか食べてないじゃん」
唯兄にそう言われてはっとした。
「あ、の……そんなこともないです、ご飯も好きです」
ただ、お箸やスプーンを手に持ちたくないだけ、とは言えなくて言葉を濁す形になってしまう。
自分が慣れている人たちばかりなのに、どうしてかその空気に馴染みきれない私は、カウンターの中で須藤さんと唯兄とお料理の話をすることで気を紛らわせていた。
須藤さんの白いコックコートはお医者様の白衣に通ずるものがあって、無条件に安心してしまう。
そんな私はたぶん結構単純なのだと思う。
時折、司先輩からの視線を感じ、先輩もお料理の話に混ざりたいのかな、と思ったけれど、視線が合えばすぐ手元の本に目を落とすのだから、やっぱり体調を気遣われいてるだけだったのかもしれない。
「翠葉お嬢様は本当にパンがお好きなんですね」
「……え?」
「そうだね、ここ最近パンしか食べてないじゃん」
唯兄にそう言われてはっとした。
「あ、の……そんなこともないです、ご飯も好きです」
ただ、お箸やスプーンを手に持ちたくないだけ、とは言えなくて言葉を濁す形になってしまう。