光のもとでⅠ
 トレイにはクッキーも乗っていた。
「ウォーカーズのクッキー……」
「リィがお風呂に入ってるとき、秋斗さんから荷物が届いたんだ。その中に入ってた」
 秋斗さん……。
 いつかもテスト勉強のときにクッキーの差し入れをしてくれた。
 十分くらい三人で話をしながらお茶を飲み、三人並んで洗面所で歯磨きをしては鏡に映る自分たちを見て笑った。
「おやすみなさい」の挨拶を交わして部屋に戻ると、そのままベッドに上がりタオルケットを身体にかけて照明を落とした。

 テスト中だというのに、私はまた関係ないことを考えている。
 もう少ししたら秋斗さんが帰ってくるかもしれない。
 少し前は傷が治るまでは帰ってきてほしくないと思っていた。
 傷を知られるのが怖くて。傷つけてしまうんじゃないかと思って。
 でも、本当は違うのかもしれない。
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