光のもとでⅠ
「翠葉、大丈夫か……?」
蒼兄の声が耳もとで聞こえた。
「だめ……私、全然だめ――もっと、ちゃんと言わなくちゃいけなかったのに」
「……翠葉、先輩との約束。自分を責めすぎないこと」
そう諭される。
少しすると唯兄がお茶を持って入ってきた。
「あーぁ、かわいい顔をぐちゃぐちゃにして泣いて。まったくしょうがない子だねぇ……。これ、湊さんから預かった薬。軽い睡眠薬だって」
渡された錠剤は軽い睡眠導入剤だった。
「こういうときは一度寝ちゃうのがいいらしいよ?」
寝て、私はまた現実から逃げるのだろうか……。
「とりあえず、何も考えずに寝ちゃいなよ。知ってる? 鍋は煮えたかな? どうかな? って言いながら何度も蓋を開けて見てると美味しい料理は作れないって」
なんの話……?
全く話しについていけない私に代わって蒼兄が口を開く。
「思考整理の話だろ?」
「そうそう。難しいことほど時間を置いてから考えたほうがいい答えが見つかるって話。料理も、一日コトコト煮詰めたほうが美味しいものができるっていう海外のたとえ話」
蒼兄の声が耳もとで聞こえた。
「だめ……私、全然だめ――もっと、ちゃんと言わなくちゃいけなかったのに」
「……翠葉、先輩との約束。自分を責めすぎないこと」
そう諭される。
少しすると唯兄がお茶を持って入ってきた。
「あーぁ、かわいい顔をぐちゃぐちゃにして泣いて。まったくしょうがない子だねぇ……。これ、湊さんから預かった薬。軽い睡眠薬だって」
渡された錠剤は軽い睡眠導入剤だった。
「こういうときは一度寝ちゃうのがいいらしいよ?」
寝て、私はまた現実から逃げるのだろうか……。
「とりあえず、何も考えずに寝ちゃいなよ。知ってる? 鍋は煮えたかな? どうかな? って言いながら何度も蓋を開けて見てると美味しい料理は作れないって」
なんの話……?
全く話しについていけない私に代わって蒼兄が口を開く。
「思考整理の話だろ?」
「そうそう。難しいことほど時間を置いてから考えたほうがいい答えが見つかるって話。料理も、一日コトコト煮詰めたほうが美味しいものができるっていう海外のたとえ話」