光のもとでⅠ
「翠葉お嬢様、お加減はいかがですか?」
 と、やや心配気味に訊かれる。
「大丈夫です。それより、梅ドレッシングっ。ありがとうございました」
「喜んでいただけて何よりです。ただし、シチューを半分ほど召し上がられてからになさってくださいね」
 それに素直に返事をすると、
「すみませんが、このあとホテルに戻らなくてはいけません」
 と、言葉を濁す。
「片付けなら俺がやるから大丈夫ですよ」
 唯兄が口にすると、「当たり前だ」と上から目線で唯兄を見下ろした。
 須藤さんが帰ると、再び食卓に着く。
 夕飯で必要になるカトラリーはフォークとスプーンだった。
 お箸よりは断然に楽。
 食べるものに硬いものがあるわけではないので、フォークを軽く刺せば困らずに食べることができる。
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