光のもとでⅠ
 スプーンも同じ。シチューを掬うだけなら痛みはさほど感じない。
 パンがハードタイプのものでなくて助かった。
 柔らかいパンを千切るのも問題なくできる。
 困るものが出されなくて良かった……。
 そのおかげなのか、今日は意外と食べられている気がした。
 途中で蒼兄に、「無理はしなくていいよ」と声をかけられるほどには食べていたのだと思う。

 夕飯が終わり、お風呂に入りながら考える。
 私はいったい何に安堵したのだろう。
 今日起きた変化と呼べるものはひとつだけ。
 秋斗さんと会ったこと。
 秋斗さんと会えたから? それとも、すべてが白紙に戻ったから?
 それとも――。
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