光のもとでⅠ
「話しは済んだかい?」
 穏やかな表情で言われ、「はい」と答えると、再び九階へ戻った。
 実のところ、歩く振動すら身体に響く。
 詰まるところ、それだけ痛みが出てきているのだ。
 真っ直ぐキッチンへ行き、すぐに薬を飲んだ。
「大丈夫かい?」
 静さんに訊かれて苦笑を返す。
「リィ……?」
 不安そうな顔をする唯兄に向かい、
「大丈夫。毎年のことだから」
 目一杯気丈に振舞ったつもり。
 そう、毎年のことだ。
 今年も乗り越えなくてはいけない。
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