光のもとでⅠ
「強情なのは碧譲りかな」
 静さんは笑いながらゆっくりと下ろしてくれた。
「せめて、杖くらいにはなりたいものだな」
 と、右手は掴まれたままだったけど。
「……ありがとうございます。それと、大声出してごめんなさい」
「いや、人の価値観やモノサシはそれぞれ違うものだ。それを無視した私も悪い」
 きっと静さんは悪いことなんて何もしていない。
 普通に優しい人で、ただ助けようとしてくれただけだ。
 好意を無下にしたのは私。
 私が強情なだけ。譲れない部分が人と少し違うだけ。
 でも、それを瞬時に理解してくれた。
 そういう人はきっと少ない。
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