光のもとでⅠ
 ベッドにたどり着いたとき、玄関でチャイムが鳴った。
 インターホンじゃなくてドアチャイム。
 誰だろう……。
 今、歩いてきた部屋を振り返ると、そこには息を切らせたお母さんがいた。
「翠葉っ」
 駆け寄ってくるお母さんを制止したのは静さんだった。
「そんな勢いで近寄ったら身体に響く。歩く振動もつらいみたいだ」
 静さんが言うと、悲愴そうな顔がこちらを向いた。
「こっちに戻ってくるなら電話くれたらよかったのに」
「ごめんなさい……。試験期間に決めたのだけど、少し体調悪くて連絡怠っちゃった……」
 ここ数日は連絡をしていなかった。
 そして、両親からの連絡も珍しく途絶えていたのだ。
 蒼兄のもとには予定表なるものが届いているらしく、それと照らし合わせるとちょうど忙しい時期であることは知っていた。
 だから、帰ってきてから連絡をすればいいと思っていた。
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