光のもとでⅠ
 ちょこちょことベッドの脇にやってきたその人は、
「私、向後律子(こうごりつこ)です。今回のお仕事で碧さんのサポートに就かせてもらっています」
 と、にこりと笑った。
 私が身体を起こそうとすると、
「そのままでいいですよっ」
 と、止められる。
「大丈夫なら起きなさい」
 お母さんに言われてゆっくりと身体を起こした。
「母がいつもお世話になっています。娘の翠葉です。……母の代理で出張に行っていただいたみたいですみません」
 頭を下げると、
「あああああ、ちょっと待って待って待ってっ! あのね、毎回ふたりで行っていたから勝手はわかっていたの。それにひとりで行くのも私の経験には必要なことなので、むしろ感謝ですっ」
 機関銃の如く喋りだす向後さんに私はびっくりし、お母さんは吹きだした。
「りっちゃんと私は感性が似てるの。だからひとりでも任せられたのよ」
「ややや、現地には黄(こう)さんもいましたし」
 黄とはお母さんの弟で私の叔父にあたる人だ。
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