光のもとでⅠ
「うちもそうだったけどさ、やっぱり親って子どもが体調悪いと側にいたいって思うものなんだよ。向後さんが言ってたとおり。それが自然の摂理」
 と、私と目を合わせて口にしたのは唯兄。
「……でも、私はお母さんには仕事に戻ってもらいたいな」
 私のために何かを犠牲にしてはほしくなかった。
「翠葉、ここにいても仕事は出来る状態なんだぞ?」
 蒼兄の優しくて大きな手が頭に乗る。
 その手は私からタオルを取り上げると、まだ乾いていない髪の毛をタオルドライし始めた。
「蒼兄もわかっているでしょう? お母さんは自分の目で見て空間を肌で感じてインテリアを確認したい人だよ? いくらここから指示を出せても本当の確認はその場に立たないとわからない。画像がメールで送られてきても、その場に立った感覚でそれを見ることはできないでしょう」
「その点はりっちゃんが確認できるんじゃないかな?」
 と、お父さんが口を挟んだ。
 りっちゃんとは、向後さんのことだろう。
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