光のもとでⅠ
「あたたかい……」
「翠葉の手はいつも冷たいな」
と、どこかやっぱり寂しそうに笑った。
「あのね……私、痛みの場所が増えているの」
蒼兄の手を見ながら答えた。
これは言葉にして唯兄に伝えるのも初めてのこと。
テスト最終日に湊先生と川岸先生にしか話していなかった。
「今、なんて……?」
唯兄は目を伏せたまま聞いていて、蒼兄は対照的に目を見開いていた。
「痛みの場所が増えたの。今は胸と背中だけじゃない……」
蒼兄が唾をゴクリと飲む音が聞こえた。
そして、「ほかは?」と訊かれる。
「鎖骨と肩、腕と手首、腰も時々……。それが左側だけじゃなくて時々右側にも出るの。筆記用具やお箸を手にしたときの重みなのか圧力なのか、それすら痛くて仕方がないの」
カミングアウトのあと、蒼兄はしばらく言葉を発しなかった。
「……だから、マンションにいたときパンばかり食べていたのか?」
少し遅れて、やっと質問をされた。
「翠葉の手はいつも冷たいな」
と、どこかやっぱり寂しそうに笑った。
「あのね……私、痛みの場所が増えているの」
蒼兄の手を見ながら答えた。
これは言葉にして唯兄に伝えるのも初めてのこと。
テスト最終日に湊先生と川岸先生にしか話していなかった。
「今、なんて……?」
唯兄は目を伏せたまま聞いていて、蒼兄は対照的に目を見開いていた。
「痛みの場所が増えたの。今は胸と背中だけじゃない……」
蒼兄が唾をゴクリと飲む音が聞こえた。
そして、「ほかは?」と訊かれる。
「鎖骨と肩、腕と手首、腰も時々……。それが左側だけじゃなくて時々右側にも出るの。筆記用具やお箸を手にしたときの重みなのか圧力なのか、それすら痛くて仕方がないの」
カミングアウトのあと、蒼兄はしばらく言葉を発しなかった。
「……だから、マンションにいたときパンばかり食べていたのか?」
少し遅れて、やっと質問をされた。