光のもとでⅠ
「うん」
「もし、唯がここにいなかったら、翠葉はもうひとりだったんだな……」
 そこをつかれるとは思っていなくて、少し居心地が悪かった。
 でも、この件に関しては自業自得でもある。
「翠葉が自分のことをなんでも話せる相手はいつか現れるのかな」
 蒼兄はベッド側の出窓から差し込む光を見て口にする。
 私が、自分のことをなんでも話せる人、か――。
「どうかな……。一生現れないかもしれない」
 これは少し冗談っぽく返すしかなかった。
「……秋斗先輩でも無理か?」
「……どうかな」
「今でも好き?」
「うん」
「……でも、会いたくはない?」
「それは違うかな。会うのが怖いというか、何を話したらいいのかわからなくなっちゃうの」
「……ふたりじゃなかったら大丈夫そう?」
 これはどんな質問かな、と思いながら考える。
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