光のもとでⅠ

22

「これ、どうしよう……」
 お昼ご飯を食べるのに、身体を起こすのはかまわない。
 けれども点滴があるのでその場を動けないことに気づいた。
 点滴パックは出窓のカーテンレールにS字フックをひっかけて吊るしてあったのだ。
「じゃ、ここで食べましょう」
 お母さんの提案で、私はベッドの上でサイドテーブルを使って食べることになり、お母さんたちはローテーブルでひしめき合って食べている。
 そんな光景を横目にお蕎麦を食べたり、唯兄が作ってくれたスープを飲んだりしていた。
 スプーンが赤でフォークが黄色。マグカップがエメラルドグリーン……。
 三つとも同じ色で良かったんだけどな。
 でも、ちぐはぐな色が少しかわいく思える。
 それらは元気が出そうな色たちだった。
 ほんの一握りのお蕎麦とマグカップに半分ほど注がれたスープ。
 それを食べるのが精一杯。
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