光のもとでⅠ
 でも、今まで誰かが心配でこんなに不安になって泣いてしまうことはなかった。
 大切な人が具合が悪いと、こんなにも不安になるものなのか、と初めて知った。
 それを知れば知るほどに、お母さんとお父さんに本当のことは言えないと思うわけで……。
 私はどうしたらいいのかな。
 どうすればいいのかな……。
「蒼兄、もう大丈夫……」
 鼻声で言うと、しがみついていた蒼兄から離れた。
 再び栞さんに視線を向けると、にこにこと笑っている顔の血色は良かった。
「相変わらず仲良しね?」
 言いながらベッドに腰掛ける。
「湊、次の点滴の用意」
 と、声をかけると、湊先生がバッグから出した点滴を栞さんに渡した。
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