光のもとでⅠ
「少し、寝てもいいですか?」
「そうね、あと二時間半は点滴終わらないし」
 と、湊先生が腰を上げる。
 それを合図にみんなが部屋を出ていこうとした。
 最後に残ったのはお父さん。
「父さんは四時過ぎにはここを出る予定なんだ。だから、翠葉の側にいてもいいかな?」
 拒否されることを予想しての問いかけに聞こえた。
「……うん、大丈夫」
 私は断らなかった。
 理由は、親には酷なことを望んでいる、と静さんに言われたからかもしれない。
「静に何かきついことを言われたかな?」
 お父さんはベッド脇にあるスツールに腰掛けた。
 きついことというよりは、現実を教えてくれた。
 そのうえで抜け道を提示してくれた。
「ううん、きついことは言われてない……」
「そうか? 静には翠葉の体のことはあまり話していないんだ」
 そうななのね。……でも、それがいいかな。
 だって、同情されるのも、そういう目で見られるのも嫌だから。
< 1,514 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop