光のもとでⅠ
 私がいられる場所は二ヵ所あった。
 自宅とマンションの二ヵ所。
 そのふたつのメリットデメリットを考えて、私は自宅へ帰ってきたのだけど、もう一度考えよう。
 自宅に戻ってきたのは本当に正しかったのか……。
 マンションは学校と病院に近い。湊先生や楓先生が近くにいる。ほかの人に会う機会も多い。
 けれども、秋斗さんがいる。
 正直、まだどう接したらいいのかがわからない。
 普通に接するのは難しい気がするけれど、マンションにいれば会う機会は多くなる。
 それに、今はこんな状態だからこそ体調を気遣われるのがつらい。
 自宅は自分の家だから落ち着く。ほかの人の介入が少ない分、人に気を遣わないですむ。
 会う人が限られているのも楽。基本的には痛みと対峙をすればいいだけ。
 でも、病院は遠くなるし学校には通えない。
 それから、蒼兄と唯兄、両親や栞さんだけに負担がかかる。
< 1,523 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop