光のもとでⅠ
 海鮮鍋はその名のとおり、海の幸だらけ。
 貝やイカ、エビなどは消化に時間かかるけど、タラや野菜などは普通に食べられる。
 それに、たくさんの具が入ったお鍋は出汁がたっぷりと出ていてとても美味しかった。
 私以外の三人には普通のご飯がよそわれいるけれど、私のご飯にはお茶碗にお出汁で作ったお雑炊が少量よそわれていた。
 小さな気遣いにお母さんの愛情を感じる。
「ありがとう……」
「ん? ゆっくりよく噛んで食べなさい」
 にっこりと笑ってくれ、その笑顔を見て思う。
 私もこういう人になりたい、と。
 もし、私に子どもができたとして、私みたいな子どもだったとしたら、私はお母さんみたいな母親になれるのかな。
 ……全然想像できないや。
 うっかりため息をもらしたそのとき、
「あっ、今リィの幸せが大量にもれたっ」
 唯兄に突っ込まれる。
「え? ……あ、ため息?」
「ため息なんぞもらしたらならぬのだよ」
 と、不敵に笑う。
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