光のもとでⅠ
 フローリングを拭きながら、
「あぁ、少し傷ついちゃったかなぁ……」
 なんて床の状態を見ている。
「そうなの?」
 お母さんに訊かれて、私は「うん」と答えた。
「プラスチックのこれなら落としても割れないから安心して食べな」
 もっともらしい理由をつけてマグカップにご飯を入れた蒼兄が席に着く。と、マグカップにお鍋の汁を注いでくれた。
「これくらいはがんばって食べな」
 私はマグカップを両手で受け取りコクリと頷いた。
 お母さんもそれで納得してくれたらしく、その話はそこで終わった。
 なんとなく罪悪感があるけれど、唯兄には感謝だ……。

 夕飯が終わり食休みをしていると、お母さんが部屋に入ってきた。
「お風呂には入れそう?」
 入りたいけど……。
「今日は少し疲れたみたい。だから、身体を拭くだけにしておく」
「そうね、来客もあったし、痛みもあったものね」
 と、すぐに簡易キッチンでタオルを濡らし用意を始めてくれる。
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