光のもとでⅠ
「翠葉が寝ていることもあるだろうから、蒼樹か唯くんに電話するわ。それで翠葉が起きていたら代わってもらう」
「うん」
身体を拭き終わると、
「じゃ、私はお風呂に入ってくるから、何かあったら上のふたりを呼ぶのよ?」
そう言って、部屋のドアを開けたまま出ていった。
そのすぐあと、唯兄が二階から下りてきた。
どうやら蒼兄とコーヒーを飲もうという話になり、ジャンケンで負けたらしい。
「リィ? 俺ね、リィの気持ちが軽くなるならどんな嘘でもつくよ」
唯兄はそう言うと、ふわりと笑って部屋を出ていった。
目に少し涙が浮かぶ。
お母さんに嘘をつくことも、唯兄に嘘をつかせることも。
どっちも本意じゃないからだ。
でも、今は……今だけは嘘をつきとおしたかった。
「唯兄、ごめんね……」
けれど、その声は唯兄には届かない――。
「うん」
身体を拭き終わると、
「じゃ、私はお風呂に入ってくるから、何かあったら上のふたりを呼ぶのよ?」
そう言って、部屋のドアを開けたまま出ていった。
そのすぐあと、唯兄が二階から下りてきた。
どうやら蒼兄とコーヒーを飲もうという話になり、ジャンケンで負けたらしい。
「リィ? 俺ね、リィの気持ちが軽くなるならどんな嘘でもつくよ」
唯兄はそう言うと、ふわりと笑って部屋を出ていった。
目に少し涙が浮かぶ。
お母さんに嘘をつくことも、唯兄に嘘をつかせることも。
どっちも本意じゃないからだ。
でも、今は……今だけは嘘をつきとおしたかった。
「唯兄、ごめんね……」
けれど、その声は唯兄には届かない――。