光のもとでⅠ

26

 お風呂から上がったお母さんが私の部屋へ顔を出し、
「ここで寝てもいいかしら……?」
 訊き方が昼間のお父さんと同じだった。
 拒否をされるかもしれない、と思いながら尋ねている感じ。
「うん、喜んで。私もお話したいことがあるから嬉しい」
 決してお母さんに気を遣って口にした言葉ではない。
 電話やメールでもやり取りはしているけれど、やっぱり会って話すのとは全然違うから。
 お母さんは嬉しそうに笑い、
「じゃ、スキンケア済ませたらすぐに下りてくるわね」
 と、両親の寝室がある二階へと上がっていった。
 引き出しベッドの用意をしたかったけれど、そこまでは動けそうにはなく、仕方なくベッドの上で待っていると、蒼兄がやってきた。
 今度はマグカップの片づけらしい。
 唯兄が入れたから片付けるのは蒼兄、そんな感じかな。
「母さん、ここで寝るの?」
「うん。久しぶりだし……」
 蒼兄は私の代わりに引き出しベッドの用意をしてくれた。
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