光のもとでⅠ
「それより、翠……食べられているのか?」
「……かろうじて、かな」
「……そう」
 司先輩はほかにも何か言いたそうだったけれど、それ以上は何も言ってこなかった。
 保健室に着くなり、唯兄の作ってくれたスープを飲み薬を飲んだ。
 そして、指定席のようになっているベッドに横になると、当然のように点滴を打たれた。
「一時間じゃ半分も入れられないわね。四限は点滴打ったまま教室に戻りなさい」
「え……。あの、クラスで授業を受けながら点滴を続行せよ、と……?」
「そう。スタンドなら海斗が持って上がるから問題ないわ」
 いえ、そういうことを訊きたかったわけではないのですが……。
「中途半端に目立ってるんだから、この際思い切り目立っておきなさい。時に開き直りも大切よ。ほら、とっとと寝る」
 有無を言わさず会話は打ち切られた。
 教室で点滴、そして授業――やだなぁ……。
 でも、点滴は必需品でもあるし、学校にいるうちに点滴を終わらせてしまったほうがいいのは確かだった。
< 1,550 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop