光のもとでⅠ
「因みに、うちの学校は期末考査で満点を取ると、その科目だけは夏休みの宿題が免除される」
 司先輩はなんでもないことのように言うけれど……。
 ……ちょっと待って。
「先輩、一位の首席であることはお察しいたしますが、もしかして……総合得点は――」
「赤丸よ……」
 凄まじく低い桃華さんの声が左側から聞こえてきた。
 赤丸イコール全科目満点だ。
「……司先輩が雲の上の人に思える」
 その言葉には何も返事がないと思っていたけれど、
「それなりに努力はしてるから」
 と、一言返された。
「本当に嫌みなやつ……」
 桃華さんがそっぽ向いて吐き捨てると、
「本当に嫌みなやつは、努力してない、って答えると思うけど?」
 先輩は桃華さんを見るでもなくそう口にした。
 ふたりの間に火花が散っているような気がした。
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