光のもとでⅠ
「昨日の夜にゼリー飲料が届いたわ。どうしても食べられないときはゼリー飲料だけでも口にしてね」
「うん、ありがとう」
「それから、今日の午後には小さな冷蔵庫が届くから、あとで唯くんにお願いして部屋に設置してもらいなさい」
「どうして冷蔵庫……?」
「キューブ型の小さいものだけど、その中にゼリー飲料を入れておけばベッドからキッチンまで行く必要はないでしょう?」
「……何から何までありがとう」
「親なんだから当然よ。むしろ、家を空けることは親らしくはないでしょうけれど」
 きっと不本意なのだろう。
 顔を歪めるお母さんを見てそう思った。
「ごめんね……。でも、私はそれを望んでいるの」
「……わかっているわ。いいものを作ってくる。だから、早く元気になってそこへ行こうね」
「うん。そのときは唯兄も一緒がいいな」
「当たり前でしょう? もちろん、嫌とは言わせないわ」
 お母さんが軽く唯兄を睨むと、唯兄は嬉しそうに笑っていた。
 本当の家族みたいですごく嬉しかった。
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