光のもとでⅠ
 お母さんが現場に戻ってから一週間。
 色んなことがあった。
 色んなこと、といっても起きた事象は少ない。
 ただ、痛みがひどくて病院で処置を受けること四回。
 学校やマンションにいれば湊先生が注射を打ってくれたのだろう。
 けれど、ここは幸倉の自宅。
 自宅を選択したことに後悔はない。
 でも、栞さんや唯兄、蒼兄、離れている両親にもたくさんの心配をかけている。
 唯兄はイライラしているのが見て取れるくらいだ。
「なんでこんなに痛がってるのに眠らせるような薬でしか処置ができないんだよっ」
 病院の廊下で叫ぶ唯兄の声を聞いたのは昨夜のこと。
 唯兄、仕方がないんだよ。
 私の痛みは炎症反応も出ないし、ありとあらゆる検査にも引っかからないのだから。
 先生たちが悪いわけじゃない。悪いのは私の身体なのだ。
 それに、注射で眠れるのならそれは救いとも思えた。
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