光のもとでⅠ
痛む指先を我慢して携帯の操作をする。
今、日付が変わったところ。でも、この人なら絶対に起きている。
コール音が数回鳴ると、「翠?」と低く落ち着いた声が耳に響いた。
この声が好き……。
心にすっと染み込んでいく感じがする。
「夜遅くにすみません……」
『いや、起きてたから問題ないけど――』
まだ続きそうな先輩の言葉を遮り自分の要件を伝える。
「先輩……お願い、十を数えてください」
先輩からの反応はすぐには得られなかった。
「自分で何度も数えたの。でも、だめだった……。お願い、十、数えてください」
『何かあっ――』
「何も訊かないでっ。……お願い」
『……わかった』
先輩は一息置いてから数を数え始めた。
一クール終わると、「数えたけど?」と言われる。
「……もっと聞きたい」
今、日付が変わったところ。でも、この人なら絶対に起きている。
コール音が数回鳴ると、「翠?」と低く落ち着いた声が耳に響いた。
この声が好き……。
心にすっと染み込んでいく感じがする。
「夜遅くにすみません……」
『いや、起きてたから問題ないけど――』
まだ続きそうな先輩の言葉を遮り自分の要件を伝える。
「先輩……お願い、十を数えてください」
先輩からの反応はすぐには得られなかった。
「自分で何度も数えたの。でも、だめだった……。お願い、十、数えてください」
『何かあっ――』
「何も訊かないでっ。……お願い」
『……わかった』
先輩は一息置いてから数を数え始めた。
一クール終わると、「数えたけど?」と言われる。
「……もっと聞きたい」