光のもとでⅠ
 そして、私が病院を拒否している理由も――全部わかっていて「入り時」と言っている。
 ……もう、点滴など受けなくても良かった。
 このまま死んでもいいのかもしれない。
 私がいなくなれば家族の負担も減るだろう。
 いなくなった直後は悲しみの淵に突き落とすことになるのかもしれない。
 でも、数年もしたら平穏な日々を暮らせるようになるのではないだろうか。
 きっと放置していたら私は飢餓状態になって死ぬことができるだろう。
 それも痛みから逃れるひとつの方法かもしれない。
 ……なんだかすごいことを淡々と考えている気がしてきた。
「お父さん……私、今、少しおかしいかもしれない……。自分がどうしたらいいのかわからないの。人にこれが正しい道と言われても受け入れられないの。だから、お母さんのことをお願い……。私、お父さんもお母さんも大好きよ……? その気持ちに嘘はないの。私……私ね、大好きな人だから側にいてほしくないと思うことがあるみたい。それをどうにかできる自信はないし、側にいられることが苦痛なの。お母さんの、側にいたい、って思ってくれる気持ちは嬉しいけれど、その気持ちを受け入れることはできても、行動は無理……。今はひとりでいたい」
< 1,586 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop