光のもとでⅠ
 一度、痛みが逃れられるのなら、とオーバードーズをしたため、薬は私の管理下ではなくなった。
 それから、常にこの部屋に人がいる。
 もうオーバードーズなんてしないから、ひとりにしてほしい……。
 だって、薬を飲んでも痛みが引くわけではなかった。
 薬を飲んでいるのに、たくさん飲んだのに、眠りすら訪れない。
 気が休まる時間がなかった。
 そのたびに携帯を取り出して耳に当てる。
 繰り返される一から十までの数を何度も何度も聞く。
 それが唯一の精神安定剤になっていた。
 人って眠れないだけでも神経が蝕まれるんだろうな……。
 そんなことを考えつつ、携帯を取ろうと手を伸ばしたとき、天蓋の向こうに影があった。
「少しは眠れた?」
 その声に絶句する。
「驚かせちゃったかな? 翠葉ちゃん、久しぶり」
 秋斗、さん――。
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