光のもとでⅠ
「天蓋の中に入ってもいい?」
「っ――だめです」
あぁ、私、上手になったな……。
きっと笑みをきちんと添えられている。
声には抑揚を付けることもできた。
そんなことすらわかるようになってしまった。
変な感じ……。
表情も声も、全部私のもので私が意図して発しているものなのに、現実味がない。
自分が話しているのに全然自分らしくなくて、自分ではない誰かを見ている気すらする。
「お姫様はご機嫌斜めかな?」
秋斗さんはクスリと笑って見せた。
最近では誰かが笑う声も聞いてはいなくて、どこか新鮮さを覚えた。
「そうです……お姫様はご機嫌斜めなので、近づかないほうがいいですよ」
「とてもご機嫌斜めには見えないんだけどな」
秋斗さんは天蓋の外で普通に笑っていた。
秋斗さん、お願い……。
早くこの部屋から出ていって……。
「アンダンテでプリンを買ってきたんだ。食べない?」
また食べ物――。
「っ――だめです」
あぁ、私、上手になったな……。
きっと笑みをきちんと添えられている。
声には抑揚を付けることもできた。
そんなことすらわかるようになってしまった。
変な感じ……。
表情も声も、全部私のもので私が意図して発しているものなのに、現実味がない。
自分が話しているのに全然自分らしくなくて、自分ではない誰かを見ている気すらする。
「お姫様はご機嫌斜めかな?」
秋斗さんはクスリと笑って見せた。
最近では誰かが笑う声も聞いてはいなくて、どこか新鮮さを覚えた。
「そうです……お姫様はご機嫌斜めなので、近づかないほうがいいですよ」
「とてもご機嫌斜めには見えないんだけどな」
秋斗さんは天蓋の外で普通に笑っていた。
秋斗さん、お願い……。
早くこの部屋から出ていって……。
「アンダンテでプリンを買ってきたんだ。食べない?」
また食べ物――。