光のもとでⅠ

33

 唯兄はベッドに近寄ってきて、「何をしたっ?」と問い質す。
 何も応えずにいると、勢いよく天蓋が開けられた。
「……髪――」
 お布団の上にはパラパラと髪の毛が落ちていた。
 そして、私の右手にはハサミが握られている。
「リィ……これはいくらなんでもやりすぎだ」
 怒りを抑えている声だった。
「唯兄……唯兄も出ていって?」
「リィっ、性質が悪いぞっ!?」
 そんなのわかってる。
 適当に彷徨わせていた視線を唯兄に向けた。
「知ってる……。これが私の醜い部分。だから、見ないでほしい」
 まだ私の顔は笑っているのだろうか。
 もう、笑顔を作ろうと思わなくても勝手に表情が動いてくれる気がした。
 顔に癖ってつくんだな、なんて頭の片隅で考えながら口にしていた。
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