光のもとでⅠ

34

 どうして司先輩がっ!?
 この声は好きだけど――今はちょっと困る。
 すごく、困る。
 戸惑う自分を叱咤して返事をする。
「入ってこないでくださいね」と、一言。
 発した声が震えていないことにほっとした。
「……入るから」
 数を数える声よりも若干低い声がそう応えると、ドアが開いた。
 どうして入って来ちゃうんだろう……。
 私は横になったまま目を瞑っている。
 だって、もう起き上がる気力も目を開ける気力もないの。
「聞こえませんでしたか?」
 返事はない。でも、気配が動く気がした。
「それ以上近寄らないでください」
 きっと今はドアの前。
 静かにドアを閉める音がするものの、人の気配はなくならない。
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