光のもとでⅠ
「ハープ弾きっぱなしで一時間ちょっとだったかしら? 誰の声も誰のことも見えてなかった。体を揺さぶっても何しても無駄」
そんなことが入院中にもあった。
「解離性の可能性はなくはない」
と、声のトーンを落として姉が話す。
「……一過性のものだと思ってた。退院する頃にはほとんど症状もなかったし……」
「……なんですか、それ……」
蒼樹くんが不安そうに訊いてくる。
静さんと若槻くん、海斗は黙ったまま会話を聞いており、須藤さんは空気のようにカウンター内に控えたまま。
「蒼樹と栞がシャットアウト機能って呼んでるもののこと」
姉さんは気が進まない様子で口にした。
「あれはただ単に神経集中しているときに人の声が届かないっていうだけで……」
蒼樹が半笑いで答えると、
「さっきのくらいなら物思いに耽って周りが見えなくなる、っていう程度で説明がつく。でも、先日のあれは異常よ」
姉さんの言葉に蒼樹くんは口を噤んだ。
そんなことが入院中にもあった。
「解離性の可能性はなくはない」
と、声のトーンを落として姉が話す。
「……一過性のものだと思ってた。退院する頃にはほとんど症状もなかったし……」
「……なんですか、それ……」
蒼樹くんが不安そうに訊いてくる。
静さんと若槻くん、海斗は黙ったまま会話を聞いており、須藤さんは空気のようにカウンター内に控えたまま。
「蒼樹と栞がシャットアウト機能って呼んでるもののこと」
姉さんは気が進まない様子で口にした。
「あれはただ単に神経集中しているときに人の声が届かないっていうだけで……」
蒼樹が半笑いで答えると、
「さっきのくらいなら物思いに耽って周りが見えなくなる、っていう程度で説明がつく。でも、先日のあれは異常よ」
姉さんの言葉に蒼樹くんは口を噤んだ。