光のもとでⅠ
「んなの、納得できるかよっ」
 確かにな……。
 でも、それで一番つらいのはやっぱり本人なんだよな……。
 司は何も言わず、座り込んだままラグを見ていた。
 おまえもつらいよな……。
「精神科にかかったほうがいいんですか……?」
 蒼樹くんが不安そうに訊いてくる。
「いや、今は私がそれも含めて診るように紫さんから言われてるの。翠葉は藤宮病院に落ち着くまで、痛みの原因がわからないってだけで精神科に回されてきたでしょう? きっとその言葉を聞くだけでショックを受ける。そういうのは避けるつもり」
 精神科、か――。
 そこにかかるからといって、皆が精神異常者というわけではないが、世間ではまだ偏見の目で見られることが多い。
 日本人っていうのは不思議な人種だよな。
 "精神科"は受け入れられなくても"心療内科"や"メンタルクリニック"なら受け入れられるというのだから。
 中身はさして変わりないのに。
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