光のもとでⅠ
「さっきも言ったけど、栞さんは仕方ないとして、秋兄はどうにかならないの?」
「秋兄、出張中だろ? 今回長いよな? でも、帰ってきたら帰ってきたで翠葉は困るんじゃねーの?」
「海斗っちに一票」
 若槻君が人差し指を立てて口を挟む。
「リィはまだ秋斗さんのことを怖がってるよ」
「でも、気にはなっているようだがな」
 実際、秋斗はもう退院してホテルにいる。
 しかし、しばらくは会うなと言ったのは俺と姉さんだ。
「その件は私がどうにかしよう」
 いや――。
「それは俺が――」
「それは私が――」
 姉さんと声がかぶり顔を見合わせる。
「なんだ、ふたりして。揃って秋斗をいじめでもしたのか?」
「「ちょっとね……」」
「湊ちゃんも楓くんも、相変わらず秋兄いじりが好きだなぁ」
 軽く笑う海斗にごめん、と思う。
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