光のもとでⅠ
「許しも何も……翠葉ちゃんが気にしてるんだから仕方ないだろ? もっとも――」
「わかってる……。同じ失敗はしないよ」
 皆まで言われなくとも……。
 入院している間、翠葉ちゃんのことしか考えていなかった。
 もう、自分がどう行動すべきなのかなんて答えは出ている。
 何が正解なのかはわかってるんだ。
「ひとつだけ……。翠葉ちゃん、入院している頃からなんだけど、記憶障害が生じることがあるんだ」
 は……?
「何、それ……」
 やばい、また片言に戻ってしまいそうだ。
「ストレスの窮地に追いやられると、一定期間の記憶が抜け落ちる。雅と会ったあとの彼女の様子は秋斗も見てるんだろ?」
「あ、あぁ……」
 ハープを弾いたまま意識が飛んでいたときのことなら記憶に新しい。
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