光のもとでⅠ
 すごく弱い面もあるけれど、逃げちゃいけない場所をちゃんとわかってる。
 そういう強さを彼女は持っていた。
 だから、俺も逃げないし、暴走はしないと自分に言い聞かせることができた。
「ただね、ひとつだけお願いがあるんだ」
「……おね、がい?」
 彼女の初恋は司だろう。でも、彼女はまだそのことには気づいていない。
 つまり、彼女の中で初恋は俺ということになっている。
 それが、こんな結末だ……。
 トラウマになんてなったら、それこそ俺は自分の手に負えない傷を彼女につけたことになる。
 それだけはどうしても避けたかった。
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